MB×Coriginal

人と組織は変われるのか?
アパレル業界変革に必要だった条件〈段原尚輝✕MB〉

Coriginal株式会社
代表 段原尚輝
ファッションバイヤー MB

会社名
MB×Coriginal株式会社 段原代表
「アパレル業界を変えた二人」
スペシャル対談

コンサルティングを依頼した感想

アパレル企業の組織や内部スタッフの改善を通し、業績を向上させてきた「組織コーチング」のプロCoriginal株式会社代表取締役の段原尚輝氏と、ファッションのイロハがわからない一般男性を短期間でオシャレに、かつ中身さえも改善してきたファッションバイヤーのMB氏。

そんな二人が、業界の改善をして見えてきたそれぞれの課題とはなんだったのか。そしてなぜアパレル業界の積年の課題を解決に導くことができたのか。

互いがこれまで取り組んできた「改革」を語る対談企画。あなたの会社も彼らの「コーチング」によって、業績が大きく変わるかもしれないーー。

「私たちの改善」でどこまで変わったか?

組織改革を通じて売上をアップさせ、マネージャーやスタッフの生産性を上げるなどの改革を行う段原氏と、ファッションの変化から日々の習慣が変わり、転職や独立などで年収アップ、恋愛が成就する人たちを多数生み出したMB氏。

「組織」と「個人」において、改善のアプローチに違いはあるのだろうか。これまでの例を含め話してもらった。

(MB) 僕もファッション指南をして10年が経っているんで、いろいろなケースがあるんですが、最近あったのは、普通にサラリーマンをやってたんだけど、MBさんの話を聞いて、1年間かけて独立して、年収が1億超えてたみたいな例。ほかにもハイブランドを着こなして、アートに傾倒していった方もいます。

あとは、ひきこもりだったけど、僕のユニクロに関する記事を見て、「ちょっと買ってみよう」と思って、徐々に外に出るのが楽しくなって、今ではカフェ巡りが趣味になったという。

(段原) ひきこもりの人がカフェ巡りを趣味にするって相当なことですよ。ちなみに自分も、以前は「服がダサい」っていうことに悩んでおりまして、参考になったのはMBさんの書籍、とくに漫画の『服を着るならこんなふうに』(KADOKAWA)で、ドレスとカジュアルの使い分けを学びました。

(MB) ありがとうございます。最初の書籍『最速でおしゃれに見せる方法』(扶桑社)を出版したのが、もう8年近く前で、この間とあるアパレル企業のエントランスにいたら、「MBさん!」と呼び止められまして。

何かなと思ったら、「僕、『最速でおしゃれに見せる方法』って本を学生時代に読んで、今こうやってアパレルの会社で働いてるんです」みたいなことを言われたんです。めちゃくちゃ嬉しいけど、「俺、こんなに年を取ったんだ……」っていう悲しさもありました(笑)。

QUESTION

(段原) 僕は「組織コーチング」の手法を活かして、会社が本当に得たい成果を実現しながら、どのようにすれば組織もチームも個人も圧倒的に成長できるのかを追求してきました。

例で言うと、カジュアルブランドを複数扱うアパレル企業が、2年で2倍、3年で3倍と業績が伸びていき、その過程で社員の方が成長する姿を目の当たりにしてきました。もともと、「人はどうやったら変わるのか」ということに興味があり、個人向けのコーチングをしていたんですが、もっと多くの人の成長に関わりたいと思うようになりまして、今の組織コーチングの方に舵を切りました。

QUESTION

(MB) 話を聞いていて、お互い逆方向からアプローチはしているけど、「対象を変える」というゴールは一緒なんだなと。

そもそも僕は、「大きく動かす」ことをやれない人間だと思ってるんですよね。田舎者で学歴もないし、本当にただのショップスタッフからのスタート。「対個人」に向き合うしか方法がなかったんです。

だけど、将来のことを考えると、レバレッジが効くやり方にしていかないと、先細りするのはわかっていた。そこで「メルマガ」を始めたんです。1本出せば、1人だけじゃなく100人、1000人、1万人…と、僕の哲学がどんどんインフルエンスしていく。最初から100人を狙うんじゃなくて、「1を100個作る」みたいな考え方で戦っていったんです。

アパレル業界にある根深い課題

脈々とファッションのトレンドは生まれていたが、2010年代にMB氏が登場するまで、「ロジカルな着回し術」が浸透していなかったアパレル業界。

それはすなわち、業界が“変わろうとしなかった”ことの裏返しでもある。

(段原) アパレルのクライアントと話していると「とにかく良い服が作りたい」「カッコよくありたい」という言葉をよく耳にします。

その思い自体は素晴らしいんですが、「お客様」という単語が出てこないことが多い。相手を見てない、と思うことがよくあります。たしかMBさんの本にもそんなことが書かれていたと思うんですけど(笑)。

なので僕が大切にしているのが、「カスタマーサクセス(お客様の成功)をつくりましょう」と。あくまで主語はお客様で、お客様が価値を決めます。どれだけいいものを作ったとしても選ばれなかったら、お客様にとっても会社にとっても価値なしです、というところからコーチングしていく。

(MB) なるほど。例えば、接客の言葉を変えるだけで、自分本位のところから脱却できそうですね。

(段原) そうなんです。言葉がその人や会社の世界をつくっていて、自分本位かお客様ファーストかもわかります。「スタッフが売る」じゃなくて「お客様に買っていただく」という目線に立ち、言葉を発し、行動にうつすことが大事。すると、やはり結果が売上という形で変わっていくんです。

(MB) 本当におっしゃる通りで、アパレル業界って唯我独尊的な人が本当に多いんですよね。

10年前に僕が出てくるまで、「ユニクロでオシャレになる」っていう概念がそもそもなくて。ファッション雑誌を開いても、「今年の気分はトレンチコート」とか書いてあるんですよ。そもそもトレンチコートの定義すらわからないのに、どうやってその気分を読み解けばいいんだみたいな(笑)。完全なる「村社会」だったんですよね。洋服好きな人に対してお洋服を売って、それでいいじゃんっていうのがずっと続いてた業界でした。

(段原) 販売員さんが店にいるにもかかわらず、ファッションの基本概念を教えることがないですからね。MBさんはご著書の中で「ドレス7:カジュアル3」みたいな感じでおしゃれに見せる方法を数値化して書かれていたので、すごくわかりやすかったです。

(MB) アパレルって、「なんとなくカッコイイ」と感覚的な説明をするんで、そこがすごく高いハードルになってると思います。7:3って言われると、「キレイめ重視で、少しラフさがあればいいんだ」って“なんとなく”の部分がなくなるじゃないですか。

(段原) 事実と解釈が区別されていないんですね、「これめちゃめちゃ洒落てるんですよ」って言われても、何を持ってオシャレなのか、エビデンスが出てこない。MBさんのように、誰が聞いても想像できるフレーズで言語化して、初めてお客様目線に立てるんだと思います。

2人が企てている「さらなる変革」

ここまで、アパレル業界における組織改善について対談してきた。最後に、今後二人が描いている先のビジョンを語ってもらった。

(MB) ライトな目標の僕の方からいきましょうか(笑)。「MB」として活動してから10年経って、メルマガ以外にいろんなプラットフォームが出てきました。Instagram、YouTube、TikTok……そこで僕みたいな内容を発信する方が増えてきて、10年前と比べて相当ファッションのリテラシーが高くなっている。

街を歩いてても、「おしゃれな男の子が増えたな」と思っています。それを見ると、ある程度「僕の役目は終わったな」とも思っているんです。そうしたときに、次何やろうかなってとこなんですけど、いまモノづくりが楽しくて。日本って「素材」のポテンシャルがすごく強いんですよ。

(段原) 「素材」ですか?

(MB) はい。例えば、着物ってデザインやシルエットに大幅な変化がないじゃないですか。じゃあ何で差別化しているかってなると、柄とか素材感、つまり「染」と「織」なんですよね。

そうした日本古来からのこだわりを、海外はすごく評価していて。プリミティブなところに立ち返って、日本の素材のすごさっていうものを、オリジナルのモノづくりを通して広めたいなって思っているんです。

(段原) なるほど。僕は引き続き、アパレル業界に限らずより多くの視座の高い経営者の方や会社をサポートしていきたいですね。実現したいことはあるけど、行き詰まったり、いろんな課題を持ってらっしゃる方が、まだまだ多い。

その問題解決をし、目標を実現していく過程で、より多くの会社と個人の成長に関わっていければ、日本はどんどん変わっていくと思っています。

もちろん、長年のクライアントとも末永くお付き合いして、更なる大成功を掴んで欲しいですね。ちなみに、僕は「集団天才」という考え方を大切にしていて。

(MB) 「集団天才」?かなり気になる言葉ですね。

(段原) 複数人集まってアイデアを出して「効果的に」チームで取り組んでいくと、1人だけで考えている状況よりも、圧倒的にイノベーティブな解決策になっていくという考え方です。

人って、3つのアイデアを同時に考えると、パフォーマンスが低下すると言われていて。同時に考え、かつパフォーマンスが出るのは2つが限界なんです。

なので、10人集まれば20個の有効なアイデアが出てきて、その掛け合わせで一見不可能に見えたことがどんどんと可能になっていく。そこから組織が成長して、お客様も喜ぶ。そんな会社が増えればいいなと思っています。

(MB) なるほど。やっぱりお互い視点が違うから、話を聞いていて面白かったです。社会って結局「役割」が大事だなと思っていて、僕には僕の役割があって、段原さんには段原さんの組織を変えるという役割がある。これからも自分に最適な役割を全うしていきたいですね。

【プロフィール】
段原尚輝(だんばら・なおき)
Coriginal株式会社代表取締役社長。鹿児島県生まれ。東京大学工学部卒業。外資系金融企業にてマーケティング戦略立案に従事した後、世界放浪。その後、外資系ITコンサル企業にてメディア系・アパレル系の大型プロジェクトに従事。人の力を引き出す「コーチング」の考え方に出会い、衝撃を受ける。それまで培ったIT・コンサル・マーケティングの経験も活かし、組織コーチングによって経営課題を解決し、経営目標を達成するCoriginal株式会社を設立。多様な業種・企業の売上や個人生産性を数倍にする等、組織と個人の成長を具体的な結果に結びつけることを得意としている。

MB(えむびー)
ファッションバイヤー、ブロガー、作家。誰もが理解できる「オシャレの教科書」KnowerMagを運営。2016年まぐまぐメルマガ総合大賞受賞。雑誌「週刊SPA」など大手メディアで連載中。書籍『最速でおしゃれに見せる方法』(扶桑社)、漫画『服を着るならこんなふうに』(KADOKAWA)など多数。関連書籍累計200万部突破。

本日は貴重なお話、ありがとうございました!

2023.05.23

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